脱線「Excalibur」 ワーグナー好きのアーサー王伝説


「エクスカリバー」 →
監督・製作:ジョン・ブアマン
1981年製作
いわゆる「アーサー王と円卓の騎士」伝説を映画化したものです。
内容も濃くて話も非常にまとまっていて素晴らしいですv




・・・・・が、監督がワーグナー好きとしか思えません(ほんとにそうだったら凄い)。
ワーグナー好きがくすぐられるツボが随所に見られます。観ながら転げ回ってしまったので、その場面をいくつか↓に。





まず、オープニングから全体を通してライトモチーフのようにたびたび流れてくるBGMが

ワーグナー「神々の黄昏」から「ジークフリートの葬送行進曲」

作ってみたのでよろしければどうぞ→

クラシック音楽が映画のBGMに使われるというのはよくありますが、この映画の場合、単に曲が映画のシーンやイメージにあっているというだけでないのが見事なところです。
考えてみれば、結局アーサー王もアーサーの王国も滅びるわけですから、このBGM選択は絶妙ですよね。




そして、アーサー王伝説には欠かせない重要人物・ランスロット&グネヴィア。
(念のため:ランスロットはアーサー王の臣下の第一の騎士でグネヴィアはアーサー王の妃、ふたりは道ならぬ恋に落ちます。)
二人が出会うシーンとか逢い引きのシーンで必ず流れるのが、

ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲

いやもう、いくらランスロット&グネヴィアがトリスタン&イゾルデの関係そのまんまといっても、あまりにもぴったりすぎて(笑)。
しかも、

ランスロットが、グネヴィアと不倫の恋に落ちるときに、なぜか脇腹に剣が刺さって傷が出来てしまう


こんな話、アーサー王伝説の物語にはどこにも出てこなかったはず・・・・さらに彼はアーサー王の最後の戦いに加勢に出てきて「(脇腹の)古傷が痛むのです」といいます。

私めの叫び(;゜〇゜) 「こ、これは・・・・アンフォルタス」

ランスロット
にワーグナー「パルジファル」アンフォルタス
(念のため:彼は女の色香にまよった挙げ句、聖槍を奪われて脇腹に傷を負ってしまう。しかも傷は塞がらない。アンフォルタスはあとでパルジファルと出会うことになる)を重ねているのではないでしょうか。ほかにもそう思えるのは、

この映画のなかではランスロットが騎士志望のパルジファル(映画のなかではもちろんパーシヴァルとなっていますが、ワーグナー好きのためこの呼称で統一させてください)に最初に出会って彼を拾うことになる点です。

私めの叫び(^ニ^) 「そうか、だからランスロットにパルジファルを拾わせたのか」

アーサー王伝説の原作のほうにはランスロットがパルジファルを拾うという話はこれもなかったような(笑)。




そのパルジファル、映画の後半出ずっぱりです。狂喜乱舞♪
嬉しいのは、彼が聖杯を見つけて持ちかえってくることです。
アーサー王伝説の原作のほうですと、パルジファルでなくてガラハッドに美味しいところは全部持って行かれてしまうので、「もういいよ、ガラハッド出てくるな(ガラハッド好きの皆様すみません)」と思いたくなるときがありますが(笑)、ここをあえて

ガラハッドを出さずにパルジファルにした

ところもツボです・・・・もちろんここで流れてくるBGMは

ワーグナー「パルジファル」第1幕への前奏曲他。
聖杯探しの旅にでたパルジファルは、妖姫モーガン(映画ではモーガナとなっていますが)とモードレッドの罠にはまりますが、ここの場面でモーガンが誘惑するシーンなど、ワーグナー「パルジファル」第2幕の魔女・クンドリを連想させます。というかそのまま第2幕のシーンにしてしまってもなんの違和感もないと思います(^_^;。誘惑にひっかからないのがこれまたパルジファル♪

アーサー王が最後に、エクスカリバーを湖に投げてこいと命令するのもパルジファル♪アーサー王伝説の原作のほうだとパルジファルでなくて別の騎士なんですけど、この演出も憎いです。
そしてパルジファルはこの後モンサルヴァートにいって聖杯騎士団の王になるのでしょう、というか、なって!。(これは勝手な私めの妄想)




唯一、トリスタン&イゾルデが出てこなかったのがちと不満 ですが、彼らをだすとランスロット&グネヴィアと同じになってしまうので省略なんでしょうね。アーサー王伝説の本筋とはあんまり関係ないですし・・・・仕方ない、ランスロット&グネヴィアを脳内変換するか(オイ



(^^)今更ですが、合戦シーンや一騎うちのシーンもリアルですし、内容的にも面白いのでお勧めです♪(^^)



inserted by FC2 system